地域人材育成研究会では、高校魅力化のアクション・リサーチ(実践的研究)を行っています。

都鄙(とひ)間高大協働研究活動とは、都会の大学生と田舎の高校生が協働して地域課題の解決に取り組む活動です。現在、島根県立吉賀高等学校1年生と法政大学と青山学院大学の学生が協働して吉賀町の地域資源の利活用や地域課題の解決に取り組んでいます。

アントレプレナーシップ教育

 都鄙間高大協働研究活動は、島根県立吉賀高校と地域人材育成研究会が協働で研究・開発している授業です。吉賀高校内では高校魅力化の取り組みの中で「地域の特色を生かした教育」として行われます。1年生が受講する総合的な学習の時間であり、高校内の名称は「 サクラマス・ドリーム・プログラム(S.D.P.) (アントレプレナーシップ教育)」です。

 授業は主として地域課題解決型学習のスタイルをとります。センター試験の学習が課題と選択肢が与えられ、1つだけ存在する正解を選ぶ営みであるのとは対照的に、地域課題解決型学習は生徒が自分で地域の課題を探し、また、たくさん検討した解決策の中から最適解を選ぶという営みです。最適解を地域で実践することも行われます。

都鄙間高大協働研究活動の歴史

 吉高生(=吉賀高校生)と都市大学生(青山学院大学生、法政大学生他)の交流は2014年10月に開始されました。研究代表の樋田が調査で吉賀高校を訪問したことがきっかけでした。交流が始まる以前は、吉高生は大学見学と称して「東大を訪問し赤門を見てきた」(齋藤雅典校長=当時)といいます。 2014年度は青山学院大学の1コマを使って吉高生が発表し、青学生(=青山学院大学生)が質問するだけの交流でした。しかし、たったそれだけの交流でしたが、吉高生と青学生は相互の異なる日常生活や価値観・行動に出会って大いに驚き、視野を広げることが出来ました(「異文化との出会い体験」)。2年目からは青学内の複数のゼミが参加し、3年目からは法大生(=法政大学生)が参加して交流の規模が拡大しました。交流は質的にも進化しました。徐々に異文化との出会いの段階を超えて相互に相手の目を通して自分たちの課題を考える機会になっていったのです。

都鄙間高大協働研究活動の進化

4年目の2017年度には熊谷修山校長(当時)と坂田紀之コーディネーターの提案で、都鄙間高大協働研究活動が開始されました。関係者の数回の打合せを経て、8月上旬に吉賀高校において吉高生代表と都市大学生代表が最初のミーティングを行い相互の状況をシェアしました。8月末には慶応大学生を含めた大学生22名が吉賀町を訪問し吉高生と交流を行いました。10月には、今度は吉高生が東京を訪問し大学生が同伴して都内各所で聞き取り調査を行いました。大学生は高校生9班の予めのリクエストをもとに都内での研究をアレンジして訪問先に同行しました(「伝えるための能動化」)。たとえば写真館班では、吉賀町の写真館の存続を課題に選んだ高校生を都会の商店街の廃業した写真館に案内して、高校生と共に家族生活の変化、写真館の意義と変遷、困難さを考えた。林業班では、林業を考える高校生と都内の材木商を訪問して、国産の材木の用途や国産の材木への思い入れを聞いた。わさび班では、わさびのスイーツでの利用を考える高校生とパティシエを訪問し、素材としてのわさびの利用方法を聞くだけで無く、パティシエの知識と情熱に心を打たれた。そして写真館、材木商、パティシエのいずれでも、大学生は高校生が訪問先で話を聞きながら問題意識を深めていく姿に出会い、問題意識を深めるとはどのようなことか学びました。この頃のことですが、吉賀町役場職員や島根県教育委員会の関係者に感謝されたり、文科省の取り組み紹介の中で取り上げられたりしました。もはや引くに引けないという覚悟をした瞬間でした。

 都鄙間高大協働研究活動の2年目は、前年度を踏襲して8月に都市大学生が吉賀町を訪問し、10月に吉賀高校生が東京を訪問しました。大学生が訪問先を探し高校生の訪問に同行しました。大学生による訪問先探しは困難を極めました。都内の公的な機関は多忙や対応が困難という理由で意外と訪問を受け入れない傾向があります。かといって大学生は民間の訪問先の伝手がないのです。しかし、最後には何とか訪問先を探しだし、高校生とフィールドワークに出かけることが出来ました。

都鄙間高大協働研究活動の2年目は、前年度を踏襲して8月に都市大学生が吉賀町を訪問し、10月に吉賀高校生が東京を訪問しました。大学生が訪問先を探し高校生の訪問に同行しました。大学生による訪問先探しは困難を極めました。都内の公的な機関は多忙や対応が困難という理由で意外と訪問を受け入れない傾向があります。かといって大学生は民間の訪問先の伝手がないのです。しかし、最後には何とか訪問先を探しだし、高校生とフィールドワークに出かけることが出来ました。

さらなる進化を求めて

 2019年度の特筆すべき進化の第1は、吉賀町内での研究活動と吉賀高校生の東京研修のスケジュールが変更となったことでした。2019年度は、あまりに都鄙間高大協働研究活動が楽しくてしかも学習効果が高いと言うことで、交流や協働研究の夕方に行うことが恒例であったスカイツリー見学が翌日に回されたことでした。さらに、吉賀町内での高校生と大学生の協働研究の時間や交流の時間を大幅に増やしました。

 進化の第2は、前年度中に協働研究活動に関わる吉賀町の担当者、地元NPO、大学関係者が「裏方グループ」を組織し、途中からは町の教育委員会もグループに参加しました。第1回の打合せでは、出席者全員で協働研究活動への想いや期待する効果をシェアしたのでした。

これまで発表してきた研究、紹介されたメディア

※2017年度の様子は下記で紹介されている。
・雑誌『青少年問題』(第669号)特集記事「高大協力による地域人材育成プログラム」で紹介している。

※2018年度の様子は、下記で紹介されている。

協働研究の様子は下記で紹介されました
高田泰, 2019, October 31. 島根発「高校魅力化プロジェクト」が全国へ。なぜ今「地方の高校」が選ばれる?. ビジネス+IT.
サンネットにちはらストリーミング配信:令和元年8月31日・9月1日 Vol.821
サンネットにちはらストリーミング配信:平成30年9月15日・16日 Vol.771
・平井優香. 2018. “島根の中山間地域・離島高校 都会地大学との連携進む.” 山陰中央新報, May 13.
・ 吉賀町. 2018. “高大交流記事(吉賀高校支援室だより&移住・定住支援「首都圏の田大学生が吉賀町を満喫!」).” 広報よしか, October, 10, 12.
・“吉賀高生と都会地学生 農業、医療、交通… 地域課題語り合う.” 山陰中央新報, September 29.
・吉賀高校. 2018. “学校通信『めたせこいあ』 第102号(通算188号)2018年9月号.” めたせこいあ, September.
・吉野仁士. 2017. “吉賀高生 東京の大学生と意見交換 鳥獣被害や林業 調査研究.” 山陰中央新報, August 30.
・根石大輔. 2017. “吉賀の魅力探る 首都圏大学生が地元高生と交流.” 中国新聞, August 27.
・吉賀高校. 2017. “学校通信『めたせこいあ』 第90号(通算176号)2017年9月号.” 吉賀高校, September.


  

・2019年度は報告書を出版の予定です。